N88-BASICの時代はプログラムが組めないとPCが使えないという状況だったが、MS-DOSの時代はドライバーを自分で組む込めないと使い物にならなかった。今は自動でインストールされるが、そんな便利な機能は無く一行一行意味が分からないといけなかった。場合によってはメモリー不足になるため使わないハードウェアのドライバーを意図的に組み込まないのは当たり前の事だった。
今だとWEBで検索すればいくらでも情報を取得できるが、とりあえずパソコン通信で情報を得るにしてもそのためのドライバーを組み込まねばならず、初心者用の本が大量に発売されていたものだ。
どれも簡単!やさしい!とか記載があったが、多くの方に取っては難解だったかもしれない。とりあえず読んでおけば。。。という本でも無く、全部ページ理解しないと意味がなかった。一応マニュアル本は添付されていたが専門的で難しいのと、この時代のソフトウェアは非常に高額なのでゴニョゴニョして使う輩が多かった。そのためゴニョゴニョして使う輩の為のマニュアル本が販売されていたものだった。特に一太郎やLotus1-2-3なんかはMS-DOS関連のマニュアルより豊富に発売されていたと思う。
MS-DOSの起動と同時に読み込むのはCONFIG.SYSだ。通常名前の変更はできず固定である。
以下は、PC-9821を使用していた時の自身最後のCONFIG.SYSである。AドライブはWindows95,BドライブはMS-DOSとWindows3.1を起動していたときのものだ。そのBドライブ用のCONFIG.SYSである。
FILES = 8
BUFFERS = 6
FCBS = 1,0
DEVICE = B:\MDEV\IOSPRO\VMM386.EXE /I /U=D0-D7,E9-F3 /XH=16 /NECID
DEVICE = B:\DOS\POWER.EXE
DEVICE = B:\DOSUTY\EMSUTY.EXE Create LOW_MEM 295
DEVICEHIGH = B:\DOS\SETVER.EXE
DEVICEHIGH = B:\DOS\HRTIMER.SYS
DEVICEHIGH = B:\MDEV\IOSPRO\IOS10.EXE 30720 /X /NS /R=F /D=512
DEVICEHIGH = B:\MDEV\IOSPRO\DC10.EXE 12280 A: B: C: D: /X /NV /R /S
DEVICEHIGH = B:\MDEV\UIDE\UIDECD.SYS /D:CD_101
DEVICE = B:\DOSUTY\EMSUTY.EXE Free LOW_MEM
DEVICE = B:\DOSUTY\HSB.EXE VU I26 IMPU98 #H1.2
BREAK = OFF
SHELL = B:\COMMAND.COM B:\ /P /E:512
LASTDRIVE = Z
DOS = HIGH,UMB
今でもそれなりに覚えているが、かなりマニアックなものである。NEC純正のドライバは少なく、サードパーティとフリーソフトのドライバーで構成されていた。記載順番もそここそ重要だった。主にメモリー関連とCD関連のドライバーの組み込みだ。HSB.EXEは非常に懐かしい。キーボードのみで高速でリセットをかけるプログラムなのだがフリーソフトとは思えないほどのできだった。おそらく当時のほとんどのPCに組み込まれていたと思う。
そしてAUTOEXEC.BATである。CONFIG.SYSを読み込んだ後に、自動実行されるスクリプトである。こちらも名前は固定だ。追加のドライバーと基本設定を行うものである。
@ECHO OFF
PROMPT $e[33m$p$g$e[0m
PATH=B:\WINDOWS;B:\WINDOWS\SYSTEM;B:\MDEV\IOSPRO;B:\DOS;B:\DOSUTY;B:\BAT;A:\WINDOWS\COMMAND
SET DOSDIR=B:\DOS
SET TMP=F:\
SET TEMP=F:\
SET TZ=JST-9 SET
EXVIEW=MIEL
SET EXARC=LHQ -G
SET SOUND=B:\SB16
SET BLASTER=Ad2 I3 D0 H0
SET MIDI=SYNTH:2 MAP:E
B:\DOSUTY\WSSCD.COM 22
B:\DOSUTY\F10EXIT.COM
LOADHIGH /L:2 B:\DOS\MSCDEX /D:CD_101 /L:Q /K /E
LOADHIGH /L:2 B:\DOSUTY\EZKEY.COM -f4 -N -@+ -i- -!-
B:\MDEV\IOSPRO\BEX.COM MAX
B:\DOSUTY\ADDFILES.COM 120
B:\SB16\SBC.EXE /I /OPGAIN:4 /M:248 /MIDI:152 /LINE:216 /CD:0 >NUL
B:\SB16\WB2MODE.EXE /S:GS >NUL
B:\DOSUTY\FD.COM B:\
CLS
PROMPT $e[33m$p$g$e[0m
の記載が特にマニアックだと思う。MS-DOSのプロンプトで
A:\DOS>DIR
とカレントディレクトリを分かりやすいように黄色にするものだ。
F10EXIT.COMは誰も知らないだろう。なぜなら勉強がてらアセンブラで自分で作ったツールだからである。あまり使わないF10キーを[EXIT]に強制的に割り当てるものだった。その他は主にMS-DOSとWindows3.1でサウンドブラスターを利用するためのものだ。
通常より長い記述だが、フリーメモリーは621,888Byte(607KB)確保していた。
これは通常よりは多い方だろう。この設定であらゆるソフトが動いておりメモリー不足になることは一切無かった。たったこれだけの記述でも、その人なりの特徴が良く出るもので、参考にはなっても同じになる人はいないだろう。
自分で思い出すと非常に懐かしいが、今となってはどうでもいい、古の技術の集大成である。
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