ADSL インターネット常時接続がやってきた

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今では当たり前だが、自宅にインターネットの常時接続がやってきたのは2001年11月の事だった。当時イー・アクセス社のADSLに加入していたのを覚えている。
この頃はソフトバンクが「Yahoo! BB ADSL」のサービスを展開するために、駅前等の繁華街に「パラソル部隊」を派遣してADSLモデムを無償配布するという怪しいビジネスを開始したのもこの頃だ。孫正義社長が中央省庁でADSL用の設備開放をしなければ「ここで焼け死んでやる!」とか言って脅すような事件があった記憶がある。
おかげでADSLが普及し料金も下がったのでさすがという感じだったが、自分は怪しすぎるので避けた。今でもあのパラソル部隊は怪しすぎると思う。

ADSLは通信速度だとか通信方式だとかで色々仕様が違っていたが、大きく分けて日本は2つの仕様があった

AnnexA 北米向仕様 ソフトバンクが採用
AnnexC 日本のISDNのノイズを考慮した仕様 その他の会社

当時NTTは乗り気では無く、仕方なく日本の皆さんはAnnexCでいきましょうね?と護送船団方式的なサービス開始だったが、ソフトバンクは違った。安価なAnnexAを採用した。
実際に通信速度はAnnexCの方が10%程度速かったが、ヘビーユーザーでも無い限り大して変わらなかった。そのため「パラソル部隊」が効果を発揮して多くのユーザを確保し今に至っている。

当時の自宅の電話回線は元々黒電話の回線だった。今はモジュラージャックでしかあり得ないがローゼットと呼ばれる端子につながっており、FAX電話に変えたときに自分でモジュラージャック端子へ変更した。高校生の頃である。この工事は工事担任者資格を所有する者しか行えないものだ。しかしながらFAX電話を購入したホームセンターには変更用の端子がなぜか数百円くらいで販売されており、工事方法も教えてくれた。10分程度の簡単な工事なので工事代を浮かせるために自分で変更した。
実は黒電話はNTTからのレンタル品だったので返却が必要だったが、その時に工事の案内をされて自分でやったと答えたら、しこたま電話で怒られた曰く付きの回線である。

導入した当時はまだまだダイアルアップの回線が主流で、ADSL回線は順次首都圏からサービス開始をした頃だ。ADSLはサービス提供している地域でも運が悪ければ接続ができないというサービスだった。自宅はギリギリサービス圏内だったが50mも離れればサービス圏外の地域で、しかも昔怪しげな工事をした回線だ。繋がるかはとても微妙だった。
実のところ速度は全然求めていなかった。電話代を気にせず憧れのテレホマンを経験したかったのだ。300kbpsでもいいから繋がればそれで良かった。

PCは当時からマニアックで自作のWindows2000で稼働するものだった。ASUS A7Vというマザーボードを使用しておりCPUはAMD Athlon 1Ghzという当時としては高性能で人気の構成だった。モデムと接続するためのシリアルポートは2つ標準搭載されていたもののLANはオプションだった。LANカードを自分でPCIスロットに差し込みドライバーの導入をするのだ。何でも無い作業だったが、今思えばそれなりにスキルが無いとADSL回線には繋げなかった。

自宅にADSLがやってきて初めて繋いだサイトはYahoo!だった。今までと違い表示が爆速だった。しかも常時接続なので、電話代を気にすることも無い。大変な驚きだった。現在は光回線を使用しており全然高速だが、この時の感動の方が大きい。
今では速度測定サイトが沢山有るが、当時はそんなものは無かった。今どの位の速度で繋がっているか分かるのは、ADSLモデムの非公開サービスモードだけだった。

もちろん当時も確認しており、今でも残している情報がこれである。
上り640Kbps 下り2272KBpsで接続されていた。実接続速度でアナログモデムとは50倍の差があった。自分にとってこれは驚異的な速度だった。嬉しくてLinuxのインストールCDをダウンロードしてみた記憶がある。時間はかかったが放置しておけば良く、ダイアルアップでは絶対にできないことだった。

おそらくこのビットマップは今となっては珍しい情報だろう。左から右へ電話回線では通常使われない周波数で通信している事を表している。ものすごく乱暴だが縦一列がそれぞれ1つのモデムのようなものだ。縦が高ければ通信速度が速く、それを束ねて速度を出している。
Bit Mapの031までが上り、038からが下りの通信を表す。
FEXT Bit MapはISDNのノイズの影響を受けにくい時間帯の通信で、NEXT Bit Mapは逆に受けてしまうときの通信だ。NEXT Bit Mapは大きく削られているのがわかるだろう。ちなみにAnnexAにはNEXT Bit Mapは無く、そのタイミングではAnnexCよりノイズの影響を受けて通信速度が出せない感じだ。

そんな思い出のあるADSLも、ついにNTTでは2024年3月にサービス終了してしまった。まだ一部地域のプロバイダーでサービスが残っているようだが、今年には終える予定らしい。自分に取っては大変ありがたいサービスだった。

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