思い出のVisual Studio 6.0

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「Visual Studio 6.0」はプログラム開発のためのソフトだ。
Windows95からWindowsXPまでサポートがされており、32Bit版のプログラムならこの開発ツール1つで対応が可能である。当時のPC-9821シリーズでも問題なく動作した。
この時代に作られたプログラムでも適切に作成されていればWindows11でも問題なく動作する。もしかしたら今でも現役で使われている開発ツールかもしれない。
これより後は基本的に「Microsoft .NET Framework」を必要とするので、ある意味全く別物だ。そのため自分は好んで「Visual Studio 6.0」をXPのサポート終了までは本当に現役で使用していた。

元々は勉強用に「Microsoft Visual C++ Development System Learning Edition Version 5.0」を購入していた。1997年8月頃である。
いくつかの制限はあったが、C++の勉強には全く問題が無かった。学習本も付いていたので助かったものだ。
この頃、仕事でC++を使用する機会があったのだが、まだまだ実力不足だった。C言語の躓きポイントであるポインターや構造体の理解は問題が無かったのだが、どうにもクラスの概念が理解できなかった。オブジェクト指向の考え方は初めてでカプセル化されてしまうと、どのようにプログラムが実行されていくのかが、さっぱり理解ができなかった。そういうものだと、ごまかしながらコードを書いていたものだ。
そんななか1998年9月に「Visual Studio 6.0 Professional Edition」が発売された。定価は14万8000円もした。
Learning Editionを購入していたため、特別優待価格でバージョンアップできる案内が届いた。確か6万円弱だった。
少々躊躇したのだが、15万円のソフトが6万で円購入できるのである。ここは自腹でお金を払わないと、いつまで経っても理解はできないだろうと購入に踏み切った。会社の方には勿体ないと笑われたものだが、投資した以上回収しないといけないので、効果はてきめんだった。おかげでオブジェクト指向も理解できた。今思うと6万円はタダみたいなもので、後に給料として十分な回収ができたと思う。

「Visual Studio 6.0」はいくつかの開発言語が含まれていた。

Visual C++ 6.0
Windowsのデスクトップアプリケーションを作るための主要なプログラミング言語。Windowsが持っている機能を最大限に活用する必要がある場合に使われた。パッケージのアプリケーションソフトは、ほぼこちらを利用して開発されていた。
ちょっとしたツールでも、良くわかっていない客は、何故かこちらで開発すると大変喜ばれた。C++が使えるプログラマーが少なかったからもあるが、工数は変わらないのにお金になったものだ。
ソースファイルは今でも互換性があるし、生成された実行ファイルも、ほぼそのまま動作する。

Visual Basic 6.0
小規模なソフトや、企業の業務システムで利用された。開発ソフトはサポート外だが、ランタイムはWindows 11でもサポートされているため、現在でも稼働してる企業もある。いつまでサポートするか分からないが、あと5年位は大丈夫じゃないだろうか?
言語取得コストが低いため、低コストで開発ができた。主に自社ツールや業務システム等の利用範囲が狭い分野で使用された。プログラマーはC++よりも遙かに多かった。Microsoft Visual C++が理解できる方は、大抵Visual Basicも問題が無い感じだ。
自分も1~2日で作れる様な簡単なソフトはこちらで開発することが多かった。
現在のVisual Basicと似て非なる言語体系のため、Visual Basic 6.0は別言語として理解する必要がある。いまさら覚える若いエンジニアもいないだろうから、老人会メンバーの主戦場だ。

Visual InterDev 6.0
Webアプリケーション開発用のツールである。
JavaScriptに対抗するためVBScriptなる仕様を作ったのだが、Internet Explorerでしか動作しなかったため全く普及しなかった。MicrosoftのWEBサーバであるIISでは、動的にWEBページを生成する「Active Server Pages」の標準言語としてVBScriptを採用したため、こちらは普及したが外部に公開しない業務システム向けが主である。
自分はApacheを利用することが多かったため、この手のものはperlが多かったと思う。phpはもう少し後だ。そのため試しに動かした程度で利用していない。

Visual J++ 6.0
Sun MicrosystemsのJava互換のプログラミング言語である。
Javaが普及したので巻き返したかったのだろうが、全くもって普及しなかった。
自分も「Hello World」を表示したら全く立ち上げることは無く、むしろ邪魔なのでアンインストールした。

InstallShield for Microsoft Visual C++ 6.0
インストール用ツールである。
機能限定版なので細かい部分に制限があるが、通常はこれで十分だった。
たいていの人は「次へ」「次へ」しか押さないし。
現在でも古いツールをインストールするときに、グリーンバックになることがあるが、こちらで作成されている。
企業の場合は別途フルセット版を購入する事が多かったのと、別途こちらのスクリプト言語を理解する必要があったので、こちらを利用して作る方は少なかったかも知れない。
Visual Basic 6.0の場合はディストリビューションウィザードという機能でインストーラーが作成できた。

今はVisual Studio Communityとして、無償版がダウンロードできるようになった。個人としての利用はこちらで十分だし、機能の3割も使わないかも。
10年以上現役で使用していたので、「Visual Studio 6.0」は大変思い出深いソフトウェアである。

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