PCと言えばバックアップが重要である。MS-DOS時代はフロッピーディスクに自分の作成したデータのバックアップを取っておくのは極めて普通なことだった。ファイルサイズは大きくても数100KByte程度だったろう。フロッピーディスク1枚に十分保存ができた。
Windows95が発売された後、ファイルサイズは飛躍的に増えてしまい、フロッピーディスクだとバックアップが大変になってきた。平気で1MByteを超えてきてきて中にはフロッピーディスクに複数に分割して保存する必要がでてきた。今だとデジカメの写真1枚すらバックアップが難しい。
そんな中、日本で覇権を取ったのはMOディスクだった。官公庁が記憶媒体として指定したためである。MacなんかのデザインデータもMOが主流だった。どの企業もMOのドライブは持っていただろう。PC-9801シリーズのMS-DOSもサポートしていた。
ただ個人ユーザーとなると少々話は別で、MOのディスク単価は安かったもののドライブ本体は少々高かった。バックアップ用として必要なだけで互換性はあまり関係が無く、高額なドライブは必要が無かった。
CD-RもWindows95が発売された頃にもあったのだが非常に高額だった。メディアも高く、しかも書き込みに失敗することが多く、初期の頃は書き込みと同時に何も操作してはならないという鉄の掟があった程だ。後に書き込み装置にバッファが搭載され、書き込みミスが解決されるまで数年かかったものだ。そのため1990年台中旬から、様々なリムーバブルメディアが発売された。
覚えているのは、Jaz,zip,SuperDisk,ORBあたりだろうか?全て実物を操作したことがあるが、全てが残っていない。。。
そんななかPC-9821 Xa9をアップグレードするべくPDドライブというのを購入した。アイ・オー・データ機器から発売されていた、PD-AB8という機種である。
Xa9の初期は4倍速のCD-ROM読み込み装置が搭載されていたのだが、これを8倍速にしてさらにPDディスクと呼ばれるリムーバブルメディアの読み書きもできるのでアップグレードに丁度良かった。値段は4万円弱と少々高かったもののMOドライブよりは安かった記憶がある。ただインターネット老人会会員でもおそらく知らない人がいるほど、マイナーなメディアである。今はPDというとスマホ充電規格の「USB Power Delivery」の方なので正しく知っていないと検索にも引っかからない。
見ての通り、CD-ROMドライブとほとんど変わらない形状だ。
PDドライブは松下電器産業(現Panasonic)が開発したため「WOODY PD」という、PDドライブを搭載したPCを大々的に展開したのだが、全くと言うほど見向きがされなかった。個人向けに少々普及していた感じで、「WOODY PD」の販売のためか大手量販店でも数は少ないものの取り扱いはあった。1枚2000円前後だった記憶がある。
メディアは5インチサイズでハードケースに入っており、傷などの心配はいらなかった。1枚で650MBの容量があり当時では十分だった。ただドライバーはWindows95専用でMS-DOS用のものは無くWindows3.1からも利用ができなかった。ただCD-ROMの部分は互換性がありCDの読み込みには全く問題がなかった。
もう一つ少々問題だったのが、読み書きが非常に遅いことだった。フロッピーディスクよりは速いもののMOよりは遅いといった感じで、現在だとクラウドにアップロードする方が速い。
そのため頻繁に読み書きするより、やはりバックアップ媒体としての利用の方がメインだった。必要なファイルをコピーしたらしばらく放置して、バックアップを待つ使い方がメインだった。
残念ながら後年のCD-RやCD-RWの利便性には勝てず、花を咲かせることも無くひっそりと消えてしまった。当時メディアは5枚セットを買ったのだが、なんだかんだでバックアップしか利用価値がなく結局3枚しか封を開けなかった。買ったはいいけど少々無駄だった記憶がある筆頭の商品である。
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