1995年5月に発表のあったPC-9821 Xaシリーズだが、CPUは全てPentiumだった。この頃になるとDOS/V機が普及を始め、海外からの部品調達率を引き上げてコストダウンをしないと競争に勝てない時代になっていた。当時のXaシリーズは75Mhz、90Mhz、100Mhzの3種類があったが、購入時にどの機種もCPUだけの違いで同じマザーボードやパーツを使用しているのでは?と想像していた。
PC-9801 RX21で機能強化の楽しさを知った私は、引き続きPC-9821 Xa9もパワーアップする気満々だった。本当はXa10が欲しかったのだが予算不足だったし、10%程度の速度差なので無理して購入するより後日のパワーアップ費用に回した方が得策だと考えた。
この頃になるとかなり詳しくなっていたので、パーツショップで何らかの部品を購入して交換してしまえばXa10相当になるかも?と保証が切れた後にでもチャレンジしてみようと考えていた。
Xa9を購入したは良いが1995年8月には120HzのXa12、11月には133MhzのXa13が立て続けに発売され、憧れだったXa10は半年でエントリー機扱いになり、価格も268,000円ともの凄い勢いで低価格化が進んだ。
どうやら買ってはいけない時期に買ってしまったらしい。必要なら後でMS-DOSとWindows3.1を買った方が安上がりだった。
そんな残念な気持ちのときに一つの情報が飛び込んできた。CPU脇にあるジャンパーピンSW2とSW3を操作すればベースクロックを変えられるとのこと。Xa7は両方ともオープン、Xa9はSW2だけがショート、Xa10は両方ともショートになっているとのことで、確かに自分のXa9はSW2だけがショートされていた。後は試しにSW3をショートさせればXa10相当になりそうだった。
問題はまだ保証内なのと、CPUが90Mhzなので「オーバークロック」になってしまう事だった。
いきなりジャンパーピンを用意するといっても、普通はパーツショップへの買い出しが必要だ。しかしながら先代のPC-9801 RX21へサウンドボードを取り付けるときに、前面スピーカーから音を出すためにジャンパーピンを外したものが1個だけあった。NEC純正のジャンパーピンである。
おそるおそるジャンパーピンをSW3へ装着してみた。SW2と全く同じ色と形のジャンパーピンで、単にショートさせているだけなのに安心感が違った。
今だとCPUやマザーボードにオーバークロックの機能があるし、問題があれば元に戻すのも簡単だ。この当時はそんな機能は無いし何しろ初めての経験だったので、何があっても良い様に念のためフロッピーディスクから起動してみた。
ドキドキしながら起動したのだが、あっけなく普通に起動してしまった。フロッピーディスクにいくつかのツールを入れていたので、メモリーテストやベンチマークテストなど、やや高負荷になるソフトを実行して1時間くらい放置してみた。これも問題なくクリアした。
安心したので普通にWindows95を起動したところ、こちらも全く動作に問題が無かった。「オーバークロック」は成功であった。
もろもろツールで確認したところ、100Mhzで動作しているのは間違いなかった。ベンチマークなども10%程高速になっていた。
こうしてXa9はXa10に無料アップグレードされたのだった。
ただドキドキした割には、体感速度は全く変わらなかったのが非常に残念だった。。。
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