古の「メモリー vs ハードディスク」

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いまでもPCをアップグレードする場合、メモリーを増強するか、ハードディスクを増強するか?永遠のテーマだ。今だとハードディスクを使用してる様なPCであればSSDに交換するのが優先されるだろう。

1990年代初頭まではちょっと違った。まずはメモリーを640KBまで増強し、フロッピーディスク装置を2HDタイプのものを2台搭載が必須だった。そもそもこのスペックを満たしていないと、アプリが動かなかった。標準でこのスペックを満たしていないPCはCPUの速度も遅く、結局本体ごと買い換え必至だった気がする。

このスペックはPC-9801だとVMと呼ばれる機種が該当する。初期型は満たしていないが、後期型は満たしており動作の遅さを除けばDOSのアプリではほぼ問題なかった。フロッピーディスク2台構成が重要なのはAドライブに入ったフロッピーは起動+基本ディスク、Bドライブは補助ディスクとして配置されることが多く2台同時利用が前提だった。Aドライブに入ったディスクは基本抜かないが、Bドライブ側を差し替えして補助的なプログラムを呼び出していた。ゲームソフトも同じような構成が多かった。ユーザー作成データも、Bドライブ側を入れ替えて保存していた。

1990年頃を過ぎるとアプリケーションは肥大化し、フロッピーディスク数枚構成のアプリケーションが増えてきた。なるべく入れ替えが発生しないように配慮されていたが、面倒な事には変わらない。そこでメモリーを増やすか、ハードディスクを導入するかの選択に迫られた。メモリー増設と言ってもハードディスクの代替でRAMディスクとして使用するのがメインだった。
単純にどちらも購入するのが正解なのだが、何分この時代はメモリーもハードディスクも高価だった。どちらも急激に値下がりしていたとはいえ、メモリーは4MBで6万前後、ハードディスクも40MBで7万前後だったと思う。どちらも購入するとなると今なら1台PCを購入できてしまう金額だ。

メモリー派
メモリー派

メモリー派

  • フロッピーディスクでの起動は遅いけど、一度RAMディスクにコピーしてしまえば最も高速に動作する
  • フロッピーディスクで直接起動した方が、アプリケーションごとに最適な構成で起動できる
  • EMSメモリーが普及してきたので、アプリケーションの作業域が増える
  • ハードディスクは[STOP]キーを押してのリトラクトが怖すぎる

ハードディスク派

  • 起動が速いし、いろんなアプリをすぐに切り替えられるから時間の節約になる
  • そもそもフロッピーディスクを入れ替えるのは面倒だし、常に補助フロッピーを数枚手元に置いておくのは邪魔だ。
  • EMSメモリーが普及してきたといっても、まだまだアプリは少ない。
  • フロッピーディスクを酷使しないし、フロッピーディスクより動作が静かだ。

そんな感じで、両者の言い分はもっともだった。

アルバイトで貯めたお金で、なんとかどちらかを購入する事ができるようになった。悩みに悩んだ末購入したのはメモリーの方だった。ただ理由はシンプルである。ハードディスクよりちょっとだけ安かったからだ。

購入したのはメルコ社の「EMJ-4000L」だ。BUFFALOブランドで、今のBUFFALOである。一応プロテクトモードに対応していたので、ほとんど意味は無かったがプロテクトメモリとハードウェアEMS両方が使えるモードで設定した。

と表示されるのが誇らしげだった。この表示のためだけにプロテクトメモリ対応に設定していたようなものだ。実際に使っていたのはハードウェアEMSの機能の方だった。
早速RAMディスクを使用できるように設定して、フロッピーディスクのアプリをコピーして実行したところ驚異的な速度だった。こんなに高速化されるのか!と大変驚いた記憶がある。まぁフロッピーが遅すぎたためだが。。。個人的にはコピーして使うよりフロッピーディスクのキャッシュ用として利用することが多かった。
例えばATOKの辞書なんかは

A:\>COPY ATOK7L.DIC NUL

とかコマンドを打つと、辞書を空読みしてキャッシュしてくれた。通常はランダムアクセスの辞書もシーケンシャルアクセスで読み込むので高速だった。当時の裏技だ。変換を学習したときのみフロッピーに書き込む様な動作で非常に高速に動作した。

現代だとハードディスクからSSDに換装したときに、起動の速さに驚いたものだがそれ以上だった。
ちなみに当時のメモリーアクセス速度より、今のハードディスクの読み込み速度の方が遙かに早い。PCの進化は驚くほど早いものだ。

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