大手メーカーのクラフトビール

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ここ何年か、とてもクラフトビールが流行っている。
ビール好きとしてはとてもありがたい。お店選びに困ることが無くなった。

簡単なクラフトビールの定義だが生産規模が小さいものの独自の製法に拘ったビールを指す。
一般的な大手ビールメーカーは、多くの人が「おいしいビール」と感じるものを安く大量に生産するが、クラフトビールは多種多様の製法や個性的な味わいを追求した物だ。そのため大量生産には向かず、特定の人を狙った商品である。ちなみに金額もお高めだ。
そのためクラフトビールは「美味しくない」といった人が多くいたりするが、もしもビール好きなら、それはまだ自分に合ったクラフトビールに出会っていないだけである。

日本の大手メーカーのビールは、ほぼラガーという発酵方法のピルスナーというスタイルだけだ。比較的歴史が新しく大量生産に向く。キンキンに冷やしたビールの方が美味しい。
対してクラフトビールは、歴史ある製法を使うことが多い。エールという発酵方法でスタイルは数百種はあるだろう。若干ぬるめの方が香りが良く美味しく感じる。
イギリスの一部地域では、花嫁がビールを作って結婚式に振る舞う風習がある。
花嫁のBrideとエールビールのAleが合わさり「Bridal」=「ブライダル」の語源にもなった。
お酒好きの夫婦は、わざわざビールを自分たちで作りに行って、結婚式の引き出物にする方もいる。分かる方はニンマリとしてしまうのだ。そんなビールである。

そんなエールビールのスタイルを基本にした、大手ビールメーカーが作る「クラフトビール」なるものが出現した。
正直に言うけど大手メーカーが作る「クラフトビール」は、なんだかちょっと違うと思う。
なんか「クラフトビール」が流行っているから、それに乗っかって新たに「クラフトビール」というジャンルを作って、売り出しているだけに見えてしまう。
実際のところ大量生産品なだけに、どのビールもそんなに尖った風味では無い。たしかに普通のビールとはちょっと違う味だ。万人受けする感じなので、まずく感じる方は少ないだろう。
クラフトビール好きは、スタイルはもちろん、ABV、IBU、SRM等のクラフトビール専門店で見かける謎の数字でうんちくを語り合うのがいいのだが、これにはそんな記載は無い。ただ入門用としてはいいかもしれない。

と、言いながら写真の5種類は最近自宅にほぼ常備しているのでレビューしてみる。

SPRING VALLEY 豊潤

アルコール度数は6%とやや高め。「インディアペールラガー(IPL)」と記載がある。クラフトビールでIPA(インディアペールエール)というスタイルがあるが、ホップを大量に使っているため、比較的苦味が強いビールだ。ザ・クラフトビールといった感じで人気の高いスタイルであり、必ずと言って良いほどクラフトビール専門店には置いてあるだろう。逆にIPLはほとんど見かけたことが無い。あるとちょっと、おぉ?となってしまう感じだ。豊潤はIPLなので、ホップの華やかさを感じつつラガーの特有の喉越しの良さが特徴だ。おぉ?なんか違うビール!といった感じで楽しめるだろう。

SPRING VALLEY シルクエール

原料に小麦粉を使っていることが特徴だ。シルクエールと書いてあるのでエールタイプだと思うのだけど、あまりエールっぽくは無い。小麦由来のビールなので一般的なビールよりフルーティーな感じが特徴である。泡がきめ細かく苦味は少ないので、ビールが苦手な人でも頂けるかもしれない。原材料にコーンが含まれているので、香りが良くスッキリとした後味が特徴だ。ただあえて冒険度が抑えられている感じ。

SPRING VALLEY 香

たぶん豊潤とシルクエールの売れ行きが良いので、新シリーズとして追加した感じのものだ。「ペールエール」のスタイルである。
香りを特徴にしているので、あまり冷やしすぎない方がいいかもしれない。
豊潤よりやや苦味が少ない感じで、バランスが良い感じ。
豊潤とシルクエールとは違うテイストなのは分かるだろう。
日本産ホップを使用とあるが、それは気にするほどのものではないだろう。
ゴクゴクと飲むより、ゆっくりと食事と合わせるのがいいかもしれない。

東京クラフト ペールエール

東京都府中市にある武蔵野ブルワリーで作られたビールだ。
ちょっと前まで「武蔵野ビール工場」と言っていたのに、まるで最近新しく作ったクラフトビールメーカーのようである。昔からサントリーはこの辺の戦略がうまい。
一般的なビールとの味の違いは分かるのだが、クラフトビール的な特徴が出ていない気がする。新しいビールの一つのジャンルと言った感じ。モルツよりこちらの方が好きだといった人もいるだろう。自分もそうだ。普段飲みに選択する、そんな方をターゲットにしたビールである。

東京クラフト ホワイトエール

大量生産ではやや珍しい無濾過のビールである。このビールは冷蔵庫で冷やしたままだと若干白い沈殿物ができてしまう。缶には一度逆さにして入れるよう記載があるが、ちゃんと読んでいる人は少ないだろう。沈殿物も味の特徴なので一緒に入れた方が良い。最初から逆さにして冷やすのがおすすめだ。
SPRING VALLEY シルクエールと同じカテゴリだが、こちらの方がややホワイトビール感が強い。飲み比べると面白いだろう。小麦由来のフルーティーな感じが特徴で飲みやすい。

全体的に大手のクラフトビールじゃ特徴を捉えるのが難しい。普通のクラフトビールのレビューの方が簡単そうだな。。。

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