MS-DOSの時代で最も普及したソフトで「Lotus 1-2-3」というものがある。今で言うExcelみたいなソフトだ。主機能の表計算、グラフ作成、簡易的なデータベースとして3つの機能が利用ができたため、ワン・ツー・スリーと呼ばれていた。
MS-DOSのメモリー拡張規格でEMSというものがあるのだが、Lotus,Intel,Microsoftが提唱した規格だ。他のソフトでもこの規格は普及して利用ができたのだが当然に「Lotus 1-2-3」の為に作られたような規格である。大きなワークシートの計算は、EMSメモリー増設が必須だった。
今ではExcelが無いと話にならない感じだが、同じくらい当時も1-2-3が無ければ話にならなかった。
今よりもPCの普及率がかなり少なかったので仕方が無い面もあるのだが、かなりの殿様商売だった。PC-9801版の全盛期だと定価で98,000円もした。
Windows95発売直前の1995年7月に発売されたR2.5Jでやっと58,000円に値下げがされた位である。
個人では気軽に購入できなかったので、自分は電卓だと少々荷が重い計算は基本的にBASICで計算していた。
憧れのソフトウェアだった。
そんな「Lotus 1-2-3」だが、Windows3.1が普及しだした頃から徐々に「Lotus 1-2-3」にも陰りが見え始めた。Microsoftがよく使うソフトを一纏めにした「Microsoft Office」を販売したからである。
Lotus社も負けじと、主力の1-2-3を筆頭に「Lotus SuperOffice(海外ではSmartSuite)」を販売した。
当時のWindows95発売前の自分の評価はこうである。ワープロは「一太郎」、表計算は「1-2-3」である。Excelとかいうソフトは1-2-3のパチモノに過ぎない。。。と。
同じような事を考える人が多かったのか、PC本体に付属するバンドルソフトも「一太郎%1-2-3」か「Word&Excel」のどちらかを選んでインストールできるタイプがあったくらいだ。
(ちなみにDOS時代は1-2-3と一太郎の簡易版が搭載されたHARMONYという中途半端なパッケージもあった)
そんな中、1995年に「Lotus SuperOffice R4J」を格安で購入する機会があった。1-2-3の他に、ワープロ、プレゼンテーション、データベース、アドレス帳およびスケジュール管理のソフト等が含まれていた。Windows3.1用だったが、Windows95対応版を後日無償バージョンアップが可能なもので定価で\30,000円だった。しかもこのソフトには一太郎に付属する日本語変換ソフトのATOK8も含まれていた(ちなみに単体ATOKライセンスとして2017までのバージョンアップの祖となっておりジャストシステム社に今でも登録されている)
金額も機能も完璧に近かった。そのため即購入をしたものである。
唯一の弱点がパッケージが異様に大きいことだった。もちろんCD-ROM版を購入したのだが当時はオンラインマニュアルなど無く、全てが紙のマニュアルだった。全部で数キロあったと思う。持ち帰るのに筋力トレーニングをしているようだった。
初めて自宅で動作する1-2-3にはわくわくした。意味も無く表計算を繰り返したものである。メニューは「/」キーを押して出すのだが、マウスを使うのは邪道だ。キーボード操作は手に馴染んでいたので何の問題もなかった。
他にもオーガナイザーというソフトはスケジュール管理なんかによく使ったし、スクリーンカムというソフトは画面操作を記録できるもので、記録保存に便利だった。
Windows95発売の頃には覇権を握っていたLotus社はIBMに買収されてしまい、1998年頃にはもう雌雄を決していた。その位Excelの普及率は凄まじく1-2-3に未来は見えなかった。しかしながら憧れだった1-2-3を使うため、その後も自宅ではバージョンアップをしつつ「Lotus SuperOffice」を使い続けた。
2004年2月にソースネクスト社から3,980円というパチモンソフトとしか思えない価格で販売され始めたので、あぁ時代は終わったのだと、やっと諦めたのだった。そこで初めて「Microsoft Office 2003」を購入した。
この頃には、もはや1-2-3を知らない世代が大半だったと思う。
ちなみに自宅で毎日の様に表計算を使っているが、今はオープンソースのLibreOfficeのCalcである。
毎日の血圧管理のためだけで、これでも十分すぎる機能だ。
「Microsoft Office」は今のところ2003が最初で最後である。
血圧管理に1-2-3も必要ない。
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