社会人になってから良く買って飲んでいたのが竹鶴である。当初は竹鶴12年だった。この竹鶴12年はスーパーで2,000円前後という価格にもかかわらず12年ものだ。そして価格の割には大変味も良く自分に取っては非常にコストパフォーマンスの高いウイスキーの1本で、必ずストックしていたものである。
2014年のあるとき事件は起こった。在庫していた竹鶴を取り出してロックで楽しもうとグラスに移した。なんだかいつもよりちょっと色が薄いのである。まぁ気のせいかな?と思って口に含むと、全く知らない味が広がった。思わず顔をしかめる感じで不良品かと思うほどである。
ほとんどラベルに違いは無いのだが、12年ものは中央左に「12」の文字があるのだが、こいつには無かった。よくよく調べたら12年ものは終売になりノン・ヴィンテージに移行した記事を見つけた。全く知らなかったのだが、ラベルを見てだまされた感でいっぱいだ。せめてラベルを変更して欲しかった。普段から飲んでいたお酒が急に無くなるほど寂しいものはなかった。はっきりいって安酒の部類なのでコーラ割りとか気にせず飲んでいたものだが、今では数万円の値が付いている。
ちょうど「余市マイウイスキーづくり」に参加することができ、ニッカウヰスキーの偉い人たちと懇親の場を持つことができた。そこで竹鶴12年の話をした時に「それにしても新しい竹鶴は若すぎないですか?」と何の気なしに話したら、その場にいた工場の方達は苦虫をかみつぶした様な顔をされた。しばらくの間の後に「申し訳ないとしか言いようが無い。。。」と話された。おそらくニッカウヰスキーの方達も苦渋の決断だったのだろう。その言葉を聞いてノン・ヴィンテージにもかなりの思いを込めて商品化したように感じたものだ。それからノン・ヴィンテージも大切にストックして飲み続けていた。
ところがである。このノン・ヴィンテージも終売となり白ラベルへ移行してしまった。在庫していた竹鶴もこれが最後のストックだ。オークションサイトでも1万円以上する値が付いてしまっている。
なんだか好きだった竹鶴がどんどん変わってしまうのが寂しいのだが、樽が無い以上仕方がない。
たぶん死ぬまであと20年以上あるから、それまでに竹鶴12年が復活することを夢見たい。
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