澤乃井蔵開き 2024前編

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今年も「澤乃井蔵開き」にやってきた。昨年から現地での蔵開きが復活してもちろん参加したが、コロナ禍にあったオンライン蔵開きも参加したし、澤乃井(小澤酒造)そのものは年に一度は訪れるお気に入りの酒蔵である。

「澤乃井蔵開き」は9:00開催であるが、実はそれよりも始まるのは早い。8:37沢井駅到着の列車でいくのがおすすめだ。通常は登山客でいっぱいな時間なのだが、この日は澤乃井目的で通勤ラッシュなみの大混雑となる。沢井駅は無人駅でSuica対応なのだが簡易改札である。そのため出るにも時間がかかってしまう。青梅駅で陣取るのであれば進行方向から見て一番後ろのドアがおすすめだ。改札を出るのに数分は違う。
澤乃井までの順路は難しくはないだろう。一番に下車した先陣隊の後ろをついて行けば良い。急な坂を下った一番下にある駐車場がチケット売り場だ。1,000円でチケットを買ったら、そのまま道を左側に進めば到着する。迷うことは無い。
8:45までに現地到着できれば「当主の挨拶」から楽しめる。8:50を過ぎると列が長過ぎで蚊帳の外だ。しかも始まっている可能性が高い。もちろんそれより早く陣取る人はいるわけで、それには絶対かなわない。一番人は9:00には全て飲み終えている感じだ。

別に荷物はいらないが、軟水のミネラルウォーターを準備していくといいだろう。「和らぎ水」というって日本酒だとチェイサーをこう呼ぶ。澤乃井も持ち込みを許可している。ちなみにつまみは厳禁である。「澤乃井」は軟水と硬水の二つの湧水を使用しているので、どちらでも良さそうだが硬水だと味のリセットがしにくい。
通ぶって水を飲まない人がいるが適切な水を用意していくほが通である。5種類の利き酒が楽しめるが、水は1杯ごとに飲んでリセットすると、味の違いが大変良くわかるだろう。深酔いもしない。量的には利き酒全てを飲み終えるのと同時に、持ち込んだ水を全て飲んでしまって構わない。なぜなら仕込水を澤乃井側が用意してくれているので、この水を再度ペットボトルに入れるのだ。この水も大変美味しい。

お水は見学コースにもあるが、蔵の井戸水だ。

写真は誰もいない別日に撮影したものだ。別日に見学すると細かに説明がしてもらえる。珍しい手彫りの横井戸だ。入り口にしめ縄が飾ってあるが、これは当日神主が祈祷した直後だからで通常は無い。

チケットを購入すると、おちょこが貰える。これで試飲をするのだ。今年のおちょこは「ピンク」だった。

ピンクはかわいい!
左の黒は去年のものだ。右の青は標準のおちょこである。もちろん中の蛇の目は青で、二杓半(45ml)のおちょこだ。ただ量が少なめなので通常利用には少々使いにくい。普段使いのおちょこが欲しい方は、利き酒どころの五杓のおちょこが良いだろう。半合(90ml)なので丁度良い。1合を入れたければ普通にグラスの方が良いだろう。

今年の利き酒は以下の五種類だ。

一番汲み 新酒しぼりたて生原酒(本醸造)
一番最初に提供される。「新酒のしぼりたて」を無調整で瓶詰めしたもの。日本酒の「ボージョレ・ヌーボー」みたいなもので、今年のお酒のできを味わうものだ。毎年味わっていないと味の違いには気がつかない。非常に若々しくフレッシュ感が強い。無調整だけに荒々しさが残る。

純米生原酒しぼりたて無濾過中汲み ~新酒~
中汲みとは中取り中垂れとも言われ、日本酒を搾ったときに最初に出たものと、搾り取った最後の部分を避けて、間の部分のみを取った贅沢な日本酒だ。安定した品質で雑味なども少なく、品評会に出品する場合もこの「中汲み」が利用されることが多い。
日本酒は味の調整のためにアルコール添加がされるが、これはされておらずしかも無濾過である。より澤乃井らしい日本酒が楽しめる。自分としては、この日本酒を楽しむことがメインだ。
上記の新酒しぼりたて生原酒よりも、すっきりとした味わいで、こちらもフレッシュ感が強い。
蔵開きにふさわしいお酒である。

純米吟醸 蒼天
・SAKE selection2018純米吟醸部門ゴールド賞
・ロンドン酒チャレンジ2020シルバー賞
・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022・2023プレミアム純米部門金賞
と3つ受賞しているお酒だ。こちらは新酒と違い落ち着いた味わいである。純米吟醸酒なので品の良い吟醸香が感じられる。また味わいも上品だ。

大吟醸 凰
2019年,2020年東京国税局酒類鑑評会吟醸部門優等賞のお酒である。
今までと違い、一気に高級感を感じる味わいである。大吟醸のカテゴリで実際にお値段も高い。山田錦を使い精米歩合が35%と非常に高い。お米の中心の35%だけを使い残りの65%は米ぬかになってしまうという、なんとも贅沢なお酒である。
味はすっきりとした辛口で雑味が無く、程よい吟醸香が鼻に抜ける。

生酛純米大吟醸 武陽
・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2023プレミアム大吟醸部門金賞
・ミラノ酒チャレンジ2023ゴールド受賞
江戸時代からの伝統的な日本酒の造り方で、山卸という作業行程を経ている。
お米を融かしやすくするために、蒸米を櫂を使ってすり潰す作業なのだが、かなりのハードワークだ。
ドラマなどでおじさん達が歌を歌いながら日本酒造りをするシーンがあるが、まさにあれである。
大変手間暇かかるため、今では山廃仕込が多い。実際にこの製法を守って造られる日本酒は10%程度と言われている。
技術の進歩で山卸をしなくても日本酒造りができるようになったが、この山卸をしない製法を「山卸廃止酛」といい略して「山廃」である。
対して昔ながらの製法が「生酛」と呼ばれる。さすがに大変手間暇かかっているため、気軽には購入できない金額だ。
味も非常に精錬されており、やはり一番美味しい。

バランスの良いコクとキレは他では味わえない。非常に華やかでフルーティーな味わいだ。飲み込んだ後にも奥行きのある吟醸香が余韻として楽しめる。
このお酒は居酒屋などではあまり見かけない。日本酒は開けた瞬間から劣化が始まるのだが、金額が高いので量がでないのだ。4合で12,100円なので原価で一杯3025円。利益も考えると倍くらいにはなってしまうだろう。そこまで気軽に飲めるお酒では無い。
こちらはお水でリセットした後に、ゆっくりと味わって貰いたい。

こんな感じで試飲は10分程度で終わった。
もちろん仕込水を調達して、次のスポットへ出かける。

長くなったので、後編に続く。

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