
今と違ってPCから完全に無くなったのは物理鍵だろう。1990年半ば位までは、PCに鍵が付いているのは一般的だった。
NEC製のPC-9801シリーズには鍵は付いていなかったが、EPSON製の互換機についてはは初期のものは鍵が付属していた。
いわゆるDOS/V機については、ほとんどの機種において鍵が付いていただろう。自作機のケースについても同じである。
鍵はLOCKをするとキーボードが利用できなくなる他、リセットボタンなども機能しなくなった。ケースによってはフロッピーディスクやCDの出し入れができなくなるよう、覆いが付いているものもあった。
もちろんハードディスク等が抜かれないようにケースが空かないような仕組みもあった。板状の鍵よりも丸鍵の方が多かった記憶がある。
MS-DOSの時代はセキュリティーというものが事実上無かった。もちろん考えられてはいたが当時の性能だと難しかったというのが正解だろう。セキュリティーが重要ならメインフレームかオフコン等を使用することが多かった。MS-DOSにはログイン認証やセキュリティーに関する機能はなかったので、電源を入れさえすれば管理者権限で何でもできてしまうのが普通だった。オフィスにPCが普及しつつあったが、操作しているデータは今よりも機密性の高いデータばかりだった。
そこで考えられたのが物理鍵である。最低限キーボードの利用を不可にしておけばデータを操作されることは無かったので安心だった。
ところがWindows95の普及が始まると、一般ユーザーにとっては鍵が邪魔だった。UNLOCKのまま使用して鍵をなくすことも多かった程だ。企業についても同じでセキュリティーが重要ならWindowsNTを利用する事の方が多かった。ログイン認証もあったしファイル単位でアクセス権を設定することもできた。セキュリティーは今の方が遙かに高いが、設定そのものは今とさほど変わらず十分な機能だった。そのためWindowsNTが普及すると、あっという間に物理鍵は廃れた。
この鍵だが、実のところそれほど強固ではなかった。素人でもピッキングが可能な感じなレベルだったし、本体を破壊しても良いのであればドリル等で穴を開けて簡単に解錠できた。数分の間だけ席を外すので気休めに鍵をかけておく程度だった。ちなみに自分も会社のPCを無理矢理解錠したことがあるのだが大した事はなかった。
本当に機密データが入っている場合は、まだまだ個室にPCを置いて部屋の鍵をかける方が一般的だったろう。
ちなみにサーバーについては今でも鍵が付いているのは一般的だ。電源を勝手に切られないためと、ディスクを抜けないようにするためである。ただこちらも通常はサーバールームに設置されていることが多いので、本当に鍵をかけて管理している企業は少ないだろう。今は適切に監視していればディスクを抜いたりケースを開けると警告が飛んでくるし、LANケーブルを抜いただけでも飛んでくるので、すぐに分かるのだ。便利に進化した物である。
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