最近のマルウェア(ウイルス)は、だんだん凶悪化していて手に負えない。ランサムウェアとか完全に集金マシンとして精錬されていてついていけない。
MS-DOSの時代はとても平和だった。ウイルスの感染はフロッピーディスクを介してなので、感染スピードが非常に遅かった。そのためアウトブレークのような状況は起こりえなかった。
主に市販のソフトをゴニョゴニョして使う人たちは感染する頻度が高かったが、ちゃんと購入する人は感染する事も少なかったと思う。
EICAR テストファイルとか無かった(というか知らなかった?)時代には、本物のウイルスをフロッピーにディスクに入れて色々実験したものだ。
ハードディスクの電源を落としておいて、フロッピーディスクで起動し、そのディスクをライトプロテクトをしておけば物理的に感染しない。
どちらかというとイタズラの類いが多く、楽しむ余裕があった。
技術を誇示したい輩が配布している感じで、実際に技術力は非常に高かった。アセンブラの知識は必須で、同じようなウイルスを作れる技術者もそうはいなかったであろう。
ちなみにEICAR テストファイルとは、
X5O!P%@AP[4\PZX54(P^)7CC)7}$EICAR-STANDARD-ANTIVIRUS-TEST-FILE!$H+H*
の文字を保存するとウイルス対策ソフトが反応してくれる擬似的なウイルスである。
EICAR.COMとかで保存すると、実際にMS-DOSからだと実行ができる。
EICAR-STANDARD-ANTIVIRUS-TEST-FILE
と表示される。
ウイルス対策ソフトもあるにはあったが常駐して監視するものは無かったかも知れない。常駐してしまうとメモリーが不足するし、常時スキャンできるほどの余力も当時のPCには無かった。
フリーソフトとかで少々怪しい気がするものがあった場合に、MS-DOS付属のウイルスチェックソフトで簡単に確認するくらいだった。そもそも自分でプログラムを作れる人は今より全然多いわけで違和感を感じるのは造作も無かった。
実際に自分がウイルス対策ソフトを別で購入したのはWindowsになってからである。
そんなMS-DOSの時代に若干猛威を振るったのが、「Yankee Doodle」というウイルスである。このウイルスは特に悪さはしないのだが、感染すると17:00になるとPCからアルプス一万尺(Yankee Doodle)のメロディーが流れるのである。企業においては大合唱だ。
特に音源ボード等を搭載しなくても、単音のみだが若干悲しげな感じでメロディーを奏でる。当時のハードウェアでこれを鳴らそうとすると、相当な技術力が必要だったのは間違いない。ある意味大変感心したウイルスである。
「企業においては大合唱」というのに違和感を感じた人がいるかもしれない。いくらなんでも気がつくだろうと!
実は当時はそうでもなかった。17:00になると自動的に終業の合図をPCがしてくれていると信じ込んでいる人も多かった。とても便利なので中には「なぜこのPCでは鳴らないんだ!」というクレームをつける輩もいたらしい。
それで初めて発覚するのである。
ちなみに駆除は面倒ではあったが、今のように大変ではなかった。
特にウイルス対策ソフトを持っていなくても、フロッピーディスクから起動して再インストールすれば解決できた。
ちなみに一時期、自分の職場のPCは終業時間になると小音量で音楽を鳴らせていた。
もちろん「Yankee Doodle」である。
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