メールアドレス作成のルール

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技術に弱い人でも、メールアドレスにルールがあるのはなんとなく分かるだろう。日本語のメールアドレスは見たことが無いし、@が2つ以上あるようなメールアドレスも見たことが無いはずだ。
インターネットには国際的に承認された標準規格があってRFCと呼ばれる文章がある。これはインターネット技術者にとっては鉄の掟の書物だ。理解ができないと話にならない。もしもこの文章が無いと、例えば全然違うメールサーバー同士では通信ができないため、全くメールのやりとりができないのだ。
そのため、この規格を遵守することが求められる。推奨するとなっていても守った方が無難だ。

1999年に始まったi-modeサービスは画期的だった。その後、i-modeの成功を見てサービスを開始したのがezwebである。双方とも共通しているのは、インターネットのメールと相互に通信できることだった。

docomo、au、ソフトバンクのキャリアメールは、何故か絶大な信頼を受けた。 何かのサービスを登録しようとすると、フリーのメールアドレスでは登録できないし、プロバイダーのメールアドレスでさえ拒否するところもあった。携帯電話のキャリアメールアドレスを強要していたところも多かった。
携帯電話を契約しないとメールアドレスが取れないため、サービス提供会社としては不正利用の可能性が低く安心だったのだろう。また携帯電話のメールに限定していたので、サポートが楽だったのもあるかもしれない。gmail等が許容されてきたのはスマートフォンが普及しMVMOの回線が増えてきた最近の事である。

しかしながら、当初からdocomoとauはメールアドレスを新規作成する際にRFCに準拠している物か確認をしなかった。NTTもKDDIも元は通信に関する国策企業だ。当時の規格RFC822を知らない訳がなかっただろう。

別にdocomoやau内部だけのサービスなら違反だろうが何だろうが全然構わない。しかしながらキャリアメールが事実上のスタンダードになってしまったため、多くの企業は迷惑を被った。特にその企業のエンジニアだ。
Google等で「メールアドレス RFC違反」と調べてみて欲しい。山の様に検索される。
メールが届かない、送信できないといった苦情が情報システム部門に届くわけで面倒なことは無かった。検索結果はエンジニアの魂の叫びである。

不正なメールアドレスの代表例は、2連続のドット(..)を使った物や、@マークの直前にドット(.@)を含んだものだ。これが意外と見かける。
通常はメールアドレスの登録時に不正なアドレスとしてエラーにしなければならない。エンジニアでは無いのでRFCなんか知っているわけは無いのだから。
もちろんサービスを提供する会社も同じだ。間違いアドレスとしてエラーにすべきだ。しかしながらキャリアが許容した適切なメールアドレスのため登録を許容せざるを得なかった。

この迷惑なメールアドレスは、2009年頃まで登録が可能だった。2008年に改訂されたRFC5322にやっと対応した形だ。10年近くも放置されたままだった。

外国企業のgoogleやappleは無視しそうな感じではあるが、秘密裏にサポートしていたようだ。gmailは2015年、appleは2020年のios14の公開までは、規格違反のメールアドレスをサポートしていたようである。今は送受信ができなくなっている。

最近になって、やっと多くの企業が呪縛から解放された。LINE等のサービスに移行してキャリアメールでやりとりをすることが少なくなったからでもある。
決まりを守らないといかに人に迷惑をかけるのかの事例だ。

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