ブラウン管モニター

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20世紀だとモニターと言えばブラウン管だった。
ブラウン管型はPC-9801専用の14インチ、Windows向けの17インチ、21インチと購入し続けた。ブラウン管タイプのモニターはワイド型では見たことが無い。4:3のスクエアタイプが一般的で当時のアナログテレビと同じ比率だった。

一番最初の14インチモニターは、完全にPC-9801専用だった。端子も異なりWindows用のPCには接続できず、水平周波数24.83KHz、垂直周波数56.42Hzと固定で640×400の解像度のみを表示できた。
この当時のPC-9801にはサービスコンセントが付いており、電源を投入するとモニターの電源も投入されるようになっていた。
今はモニターの横にPCを置くのが一般的だが、この当時はPC上にモニターを置く重ね餅の方法が一般的だった。モニターに奥行きがあるためこの置き方が最も場所を取らなかったし、PC本体もそのように設計されており内部も重量に耐えられるよう補強がしてあった。
1990年前後まではモニターはほぼ14インチしか選択ができず、これといった特徴も各メーカーで変わらなかったため安いものでも問題が無かった。垂直周波数56.42Hzというのは、一秒間に約56.42回画面が書き換わるのだが人によってはちらつきを感じる周波数だ。当時は画面が激しく変わるような事がなかったため、残光がやや長めになるよう工夫されており、ちらつきが軽減されていた。
ちなみに自分はSHARP製のCU-14FDという機種を使っていた。この機種は[TEXT]というボタンが付いておりオンにするとカラー表示を止めて、画面が全体的に黄色の文字に切り替わり目に癒やさしいモードになるものだった。文字入力時に威力を発揮しそうだが、実際にはほとんど使用しなかった。

PC-9821が発売されると640×480のモードが追加され、Windows3.1を動作させるためにマルチシンクモニターが一般的になった。グラフィックボードを追加すれば800×600、1024×768、1280×1024などの表示ができるようになった。
高性能なモニターになると、PC-9801の56.42Hzモードの表示はややちらついて見えた。また当時のモニターは既にPC-9801専用解像度の表示ができないものもあった。そのためPC-9821では[GRPH]キーと[2]を同時に押しながら電源を投入すると、水平周波数31.48KHz、垂直周波数70.10Hzのモードで起動することができた。このモードは周波数が高いため、ちらつきを感じることは無かったが、互換性の問題が生じた。
一般的なビジネスソフトでは問題がなかったが、ゲームなどでは56.42Hzのタイミングで調整しているものがあったため、正しく動作できないものがあった。そのため最後まで24.83KHzのモードが標準だった。

この頃になるとモニターは色々な種類のモニターが発売された。ブラウン管というと球面が一般的だが、円柱型になり、最後はフルフラットになった。後になるほど文字が真四角になり見やすかった。Windows95が発売される頃になると「ダイヤモンドトロン」というブランドが流行った。ソニーの「トリニトロン」と似たような方式で三菱電機のブランドだ。旧来のシャドーマスク方式に対して、アパーチャグリル方式という手法をとっており、高輝度かつ高コントラストな画面表示ができ非常にきれいだった。デメリットとしてダンパー線と呼ばれる細い線が、17インチだと1本、21インチだと2本入っていたが、通常使っている分には問題が無い程度の薄さだった。安いモニターはシャドーマスク方式、高性能なモニターはダイヤモンドトロンで棲み分けがされていた。
液晶も徐々に発売されてはいたが、画質と反応がブラウン管には遠く及ばず、金額も高かったことから全くと言って良いほど普及はしなかった。

もちろん自分もダイヤモンドトロンのモニターを購入した。飯山電気の17インチモニターMT-8617を購入した。SHARP製のCU-14FDとは別次元の美しさだった。このモニターで1280×1024のモードでしばらく使用していた。旧PC-9801の画像表示にも標準対応しており互換性には問題がなかった。
その後、グラフィックアクセラレーターを購入したことから、また飯山電気の21インチモニターを購入した。A101Gという機種である。
このモニターはかなり高額で、今だとPCがもう一台購入できるほどである。そして一般的なパソコンラックでは置けず、21インチ用のパソコンラックを別途購入しなくてはならなかった。
調子に乗って買ったはいいが非常に邪魔だった。奥行きが長いのである。今時のオフィス机だとモニターを置いて終わりだ。キーボードとマウスを置くスペースは当然無い。
とはいえ、画面サイズと画像の美しさには大変満足できるものだった。1600×1200の解像度で使用しており画面が広かった。当時としては個人ではあまり使用されていない解像度だったと思う。

BNCと呼ばれる端子にも対応しており、5つの信号をそれぞれ別端子で入力するため高画質で表示できるものだ。知らない方も多いだろう。当然この端子で接続した。しかしながら全く効果を感じなかった。。。

飯山電気のモニターだが、当時は故障に悩まされた。
可能な限りちらつきを押さえるため、性能ギリギリで表示させていたものだ。
そのためか、使用中突然大きな音がしたかとと思うと、ひどいケミカル臭がするのである。そして白い煙があがるのだ。何度か経験した。
コンセントを抜いて、まぁしばらくして入れてみるわけだが電源は全然入らないのである。17インチはともかく21インチは修理に送るのも大変だった。予備機として17インチがあったので困らなかったが。。。

結局2000年台後半まで所有していたのだが、家電リサイクル法の対象外の時代の製品だ。廃棄するにもお金がかかった。最後まで金のかかる製品だった。
今は23インチの液晶に移行しているが、もう10年以上使っている。PCより長持ちしているので感慨深い。

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