ブラウザークラッシャー

この記事は約4分で読めます。

Windows95の時代はセキュリティーに相当する機能が弱く、あまり考えられていないことが多かった。
インターネットが一般化された当時、多くのユーザーが悩まされていたのがブラウザクラッシャー(通称:ブラクラ)である。
インターネットの成り立ちが性善説で普及したことも有り、技術者がメインで一般ユーザーはあまり意識されていなかった時代だ。多くの方が多少の問題があっても技術者であれば、それなりに解決できる状況だった。
インターネットに接続するときは何らかのウイルス対策ソフトが導入されていればOKだったし、高機能なセキュリティーソフトがあったとしても、重くて実用に耐えなかっただろう。

自分が初めてインターネットに接続したときのブラウザーは「Internet Explorer 2.0」だった。事実上独占していた「Netscape Navigator」より低機能だったもののMicrosoft Plus!に同梱されていたため無料で使用できたことが大きかった。後にラインセンス購入したが、当時ちょっと予算不足だったこともある。
「Internet Explorer 3.0」が1996年8月に発表されると、1ヶ月遅れくらいでバージョンアップをした。この頃はまだまだダイアルアップが主流だったため、なかなかダウンロードは難しく、ブルジョワな方は気にならないのだが、ダウンロードに1時間以上はかかるため電話代とプロバイダー接続料金が見合わなかった。
この頃はPC雑誌が大活躍していた。付録のCD-ROMには大変お世話になり、こちらからインストールした。

ちょうどこの頃「HTML」が理解できるようになっており、今思うと非効率だが手打ちでタグを記述して、思い通りの画面表示をすることができるようになっていた。
「Internet Explorer 3.0」の新機能としてJavaScriptに対応した。当時は「Netscape Navigator」との競争から互換性のある別物の「JScript」と言っていた気がする。このJavaScriptは今でも利用されている重要な技術でありWEB系エンジニアであれば必須の知識である。

JavaScriptは環境に合わせて動的に表示を変更する技術だ。サンプルを見ながらJavaScriptを手打ちで色々記述してみた。非常に取得コストが低いながら動的に細かくブラウザへ指示が出せるわけで、凄い技術だと感心した物だった。DOSの時代だと静的な文字だけの世界がメインだったため、もの凄く未来を感じた。
そんななか、一つのメソッドに注目した。

window.open();

これは現在表示されているページから別のページを自動で呼び出すことができるものだ。
なんとなく、このメソッドを利用して表示すると同時に自分自身を再度呼び出すとどうなるのだろう?という興味にかられた。
1分もかからずサンプルを作成して実行してみる。
結果は次々と無限にブラウザーが立ち上がり、PCが操作不能に陥ったのである。。。

後にブラウザークラッシャー(ブラクラ)と呼ばれるものの初体験は、自分自身が作成した物を自分自身が踏んでしまった事によるものだった。
予想はしていたけど結構衝撃だった。少ないコストで嫌がらせができてしまうのである。
同じ事を考える方が多かったのだろう。数ヶ月後、いわゆるアングラ系の掲示板サイトではブラクラが猛威を振るった。イタズラの範疇なので重大なシステム障害を発生させることはなかったが結構迷惑だ。自分自身も何度か引っかかってしまう。従量制だったため地味に通信費に影響があった。
おそらくこの頃を知っている方は、どんなに優秀な方でも一度は経験したことがあるだろう。「怪しいリンクはクリックしてはいけない!」という情報システム部門からの通達は、彼ら自身の苦い経験からによるものである。

何度かブラクラ経験すると面倒なので「JavaScript」をOFFにしたのだった。
実のところ、この頃は「JavaScript」を利用すると美麗なページが表示される事があるものの、必須な状況では無かった。むしろ<NOSCRIPT>タグを使用して、スクリプトが動作しない場合の表示も想定することが推奨されていた。そのため通常は何の影響も無かった。

このブラウザークラッシャーはWindows XP SP2までにブラウザーのポップアップブロックの実装で一応の解決を見た。ブラクラ対策というよりポップアップ広告対策のためだけど。
そのため今ではこのブラクラを経験する事は難しい。

ちなみに現在はさすがに「JavaScript」をONにして利用している。国や企業のページは「Microsoft Edge」を要求される事が多いのでほぼ標準のままだが、普段はWaterFox(FireFoxの亜種)を使用している。こちらに広告除去ソフトを入れて、怪しいスクリプトも一緒に除去している感じだ。現在になると「JavaScript」をOFFにしてしまうと正しく表示されないし操作不能に陥る事も多々ある。「JavaScript」を使用していないサイトの方が珍しいし、ONが前提のデザインやUIで一般的だ。

今はイタズラの範疇を超えて確実に金銭を要求するようになってきた。一般広告に詐欺広告が紛れてくるし。
突然の全画面表示だとか元に戻す方法を知らない人を対象にしているし、今ではPCとスマートフォンを判別して適切な詐欺画面を表示してくる。
今思うとブラクラは非常に迷惑ではあったが、かわいいもんだった。

コメント