朝インターネットのニュースを見ていたら、某ユーチューバーが舌禍事件を起こしたというニュースをみた。
Xでの投稿トラブルということだったので、なぜか「ネチケット」という言葉を思い出した。
そういえば20世紀に入ってから全く聞かなくなった気がする。
「ネチケット」とはインターネットでコミュニケーションをとる場合に時に心がけるべきマナーや行動規範を指す。ネットワークとエチケットの造語だ。
インターネットでは無く既に1980年代にはパソコン通信上で言われていた言葉である。
今となっては言葉を出すのも憚られる位ダサいが、精神のようなものは現代においても受け継がれいる。
全くの個人的見解だが、当時のインターネット住民には具体的に以下の3つのグループがあった。
- インターネット保守派:インターネットのごく初期は、研究機関や学術機関同士でデータのやりとりをするために発展した。そのため1990年代前半の商用利用開始までは、どこかの研究機関や学術機関などに所属している人たちが占めていた。もともと研究用のネットワークだっため強固に商用利用に反対する人も多く、インターネット上に投稿する場合は自分の本名と所属機関を明示するのが基本的なマナーと考える人が多かった。
- インターネット中道派:主にパソコン通信で活躍していた人たちだ。研究機関とまではいかないが先進的な技術者も多くいた。利用用途は問わず商用利用も気にしなかったし、発展すると良いと思っていた人たちだ。もちろん初心者もいたがパソコン通信で最低限のマナーや知識を学んできていた。ただ本名を名乗らずハンドルネームを使うことが一般的なルールだった。
- インターネット革新派:インターネットもパソコン通信も知らない人たちで、ほとんどの方はこのグループだ。興味はあるもののよくわからず電気屋さんで「インターネットください」と言っていた人たちもいた。もちろん企業もで、インターネットやらは儲かるらしいと一発当ててやろうとわらわらと集まってきた感じだ。個人の方はマナーを学ぼうとしていたが、なぜか企業の方は慇懃無礼な人もよく見かけた。ただ今のインターネットは初心者をターゲットに発展してきたので、陰ながらインターネットを変えてきた人たちでもある。
インターネット初期はサーバーの性能が今よりかなり劣っており、今ある掲示板のスレッドに相当する機能が無く、一つの掲示板に全く違う投稿が時系列に並んでいた。
例えば今はやりの生成AI関する掲示板があったとしよう。
生成AIについて○○教授の論文についてだけど・・・
○○研究所 山田太郎
生成AIを使って〇〇してみた!!!
HN:Yama
生成AIって何?
こんなカオスな投稿が連続しているわけでトラブルにならないはずがない。それぞれ全く考え方が異なるわけで、それでもトラブルにならないように「ネチケット」という言葉が広がった。
PC系の雑誌にも良く特集されていたし、ホームページでもよく見かけた。
個人のホームページでは何を書いていいか分からないため、とりあえず「ネチケット」の記事を書いている人が多かった位だ。
RFCと呼ばれるインターネットで用いられるさまざまな技術の標準化や運用に関する事項を記載した文章がある。いまこのページが閲覧できるのもRFCで決まった規格のおかげだ。エンジニアにとっては大変権威のある文章である。実はRFC1855でもネチケットについて纏められている。日本語訳はこちらだ。
1995年に公開された文章なので、今の時代には合っていないが、概ね賛同できるだろう。
今回のトラブルに戻そう。
今回の投稿は、RFC1855の文章にある「一般に、一度あなたが送ったメッセージを回収することは不可能です。システム管理者でも、あなたが送ってしまったメッセージを取り消すことはできません。これは、自分の書いたメッセージが本当に送信したいものなのかどうか、あなた自身で確認しておかなければならないことを意味します。」に抵触している。
インターネット上での投稿は消しゴムマジックでも消せないのさ
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