進化したマウス

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この30年位で、最も進化したのはマウスだと思う。
基本的な使い方は変わらないが、格段に使いやすくなった。
ホイール付と光学式への移行、そして無線化だ。

MS-DOSの時代にもマウスはあったが、グラフィックを扱うソフトでない限り必須アイテムはなかった。一応、今のWindowsもマウス無しでの動作は可能なのだが、常にキーボードオンリーで操作する酔狂な人はいないだろう。
PCを新規購入すると必ず純正のキーボードが付属するが、マウスはオプションで購入する事が多かった。今と違いキーボードはそれなりに高品質で打ち込みもしやすかったが、反面マウスは各サードパーティーから発売されていたものの、耐久はいまいちだった記憶がある。
しかも最も安いものでも最低5,000円位はしたし、高感度のマウスは10,000円以上した。

今でも同じだが左クリックのマイクロスイッチが最も劣化しやすく、1990年代後半頃までは高級なマウスでも1年も持たなかった記憶がある。しかも今よりマウスは活用されていない。
劣化が始まると強めに押さないと反応しなくなるので交換の合図だ。
それも無視し続けると、左クリックに連射機能が加わる。ワンクリックすると数クリックするようなるになるので、例えばスタートメニューを押すと残像拳を発動するし、ウインドウを動かそうとすると最大化を繰り返す。ファイルの選択をすると自動でアプリが立ち上がってしまうのだ。
とても使い物にならないのでストックを用意しておく必要があった。今は量販店に行けば売っているし、100円ショップでも扱っているので楽である。そもそも耐久性が5倍は上がったと思う。

1997年に発売された「Microsoft Office 97」に合わせて、IntelliMouseと呼ばれるマウスが発売された。ホイール付マウスの始まりである。当時のOfficeに対応しており「Professional Edition」にはこのマウスが同梱されているものもあった。
新機能のため手動でドライバーの導入をする必要があり少々ハードルが高く、まだ一部のMicrosoft製品だけの対応だった。WindowsのAPIでマウスホイールを検知するWM_MOUSEWHEELというメッセージがWindows95では定義されておらず、プログラム作成が面倒だったのが原因だったかと思うが、Windows98からは標準で定義され当たり前の様に対応されていった。
その後2~3年でがらりと変わり、あっという間にホイールの無いマウスは駆逐されてしまった。当時使っていたPC-9821Xa9は端子がまるで違っていためホイール付マウスを使用することができず、最後はマウスそのものも旧式だったので入手困難になってしまった。

1999年になると、またMicrosoftより光学式マウスが発表された。当時はまだマウスといえばボールタイプだった。もしかしたらマウスにボールが入っていた時代を知らない人の方が多いかも知れない。
内部にはボールがどのくらい転がったか?を見るために、縦軸と横軸にどのくらい動いたかを検知するためのローラーとセンサーが取り付けられていた。今はマウスパッドが無くても問題は無いが、当時は丁度よい抵抗のマウスパッドが必須だった。滑りやすいとボールは回らないし、かといって摩擦があるものだとマウス本体が動かない。
そしてボールにゴミが付着して内部に掃除機のように貯まるのだ。そうなると動きを検知しなくなるので掃除が必須だった。これがまぁ面倒だった。週一くらいの掃除が必要で、髪の毛なんかが絡みつくと、10分程度格闘したものだった。
フリーソフトなんかでは、PCを起動したままマウスを掃除するために、マウスの移動検知を停止するものがあったくらいである。
このボールは一部の製造会社では隠し品番として保守用に在庫があった。小学校なんかに置いてあると、このボールを取り出しておもちゃにしてしまうのだ。当然に無くなる事故が多発するため数個をまとめて購入できるようになっていた。ボールを取り出せなくすれば良いようにも思うが、外せないと掃除ができないため不可能だった。
また個人のカスタマイズ用にボールを販売する企業もあった。軽いボールから重いボールまで数個をセットにしたものだ。デザイナーとかCADだとかマウス必須の仕事をされている人向けである。ボウリングの球じゃ無いんだからとか思いながら、試しに購入してみたことがあった。そこそこの値段の割には残念ながらほとんど違いが分からなく全くの無駄になった。。。

話を戻すが、この光学式マウスは画期的だった。
1990年台にSun Microsystems社のグラフィックワークステーションを操作したことがあったが、このマウスも光学式だった。アルミ製の専用マウスパッドが必要でボタンが3個で便利だったが大変高額だった。
現代のマウスは特にマウスパッドが無くてもスムースに動くし掃除もいらない。イライラしないので最高なのである。
初期の頃はセンサーが弱く、突然マウスカーソルが飛んだりしたが、今ではほとんど無い。
そして無線化まで果たした。いつかは無線化するだろうと思ってはいたが、PCにケーブルだらけの時代を知っている身からすると衝撃だった。格安の無線マウスでも780円位で販売しているし、これで十分実用的だ。この価格帯でもマイクロスイッチの劣化を感じることは少ないし、壊れてもこの値段であれば納得もできる。

ちなみに個人的には電池の分だけ重くなるのと電池切れが嫌なので有線派だ。
最近では進化しすぎて20ボタンもあるマウスが販売されているが、どのボタンを押して良いか覚えていられない。
老兵には有線のホイール付オプティカルマウスが限界のようである。ちなみに今はMicrosoft社製のBasic Optical Mouse 2.0を愛用している。たぶん10年位は使っているが全然壊れる気配が無い。

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