1998年頃になると、もはやPentuim90MhzのCPUは大変非力になった。メモリーは秋葉原の怪しい露天商から16MB*2を購入して合計48MBと若干余裕があったが、PC全体の遅さは100Mhzにオーバークロックしても焼け石に水の様だった。
このとき、PC-9801の夢が蘇ってきた。CPUアクセラレーターが発売されないか、日に日に期待が大きくなった。
一応、PC-9821Xa9用に発売はされていたのだが「Intel社製 JBOXPODP3V150N 純正オーバードライブプロセッサ150Mhz」か「Melco社製 HC6-MX180-N IDT社製 Winchip C6-180MHz」を搭載したCPUアクセラレーターの二つしか無かった。どちらを選んでも、もう時代遅れだった。同じ時期にMeloco社からAMD K6チップを載せたCPUアクセラレーターが発売されていたのだが、PC-9821Xa9は対応外だった。
CPUの内蔵キャッシュの関係でBIOS読み込み時に誤動作を起こしてしまい、正しく起動ができない問題があった。当時これの対応が難しかったのが原因でCPUアクセラレーターの販売が無かったようである。
たまたまであるがハードディスクの読み込みの高速化のため、アイ・オー・データ機器社製のUIDE-98というPCIのIDEインターフェースボードを搭載していた。内蔵のハードディスクを使わないため問題を回避できる状態にあった。
今ならPC購入を1年くらい我慢して買い直す方を選択するが、まだまだPCはおいそれと買い換えできる金額では無かった。だが何だかもう我慢ができず、自分でCPUを載せ替えすることとした。折角なのでMMX付のPentiumに載せ替えすることにしたのだが、ピン互換はあるものの電圧が違った。そこで利用したのが当時DOS/V機用に販売されていた電圧変換下駄である。
「PowerLeap-Pro/MMX SVRM Ver4.0」という商品である。通常のパーツショップでは取り扱いが無く、マニア向けの店で購入した記憶がある。
これに別途購入した「Pentium Processor with MMX 233Mhz」を載せるのである。そのまま載せたら壊れてしまうので、搭載前にPowerLeapのディップスイッチを3.5倍速、電圧2.8Vに設定する必要があった。ちなみに電源はハードディスクを動作させるための12Vラインから降圧させる。
こんな形で載せた。
横から見るとこんな感じ。
ちなみに合計5万円くらいかかった。失敗すると5万円どころか本体まで壊れてしまうのでドキドキである。
早速電源を入れると、いつもの「ピポ」では無く「ピョ!」という少々無理して速くなった感のある起動音とともに問題なく起動した。しかもキビキビとした動きで、ベンチマークを走らせても確かに2倍以上高速化されていて大変満足した。2時間くらい過負荷のかかるソフトを実行させたけど問題がなかったので、無事成功したのである。ちなみにこんな事をしたのは最初で最後だ。
1998年にこの記事の詳細をホームページに掲載して、雑誌に紹介して貰った。何人か参考にして同じ事をしたとの報告を受けた。思い出のある改造だった。
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