古のプリンター

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ひとまずPC-9801RXでアプリケーションがスムーズに動かせるようになったので、これまたアルバイトで追加で買ったものがEPSON製のAP-900というカラー熱転写プリンターだった。
当時AP-1000という機種が新発売されていたのだが、あまり機能的に進化していなかったため意図的に安い型落ち品を買った記憶がある。
それでもやっぱり数万円もした。

DOSの時代はプリンター本体にプリンター制御言語を持っており、以下のいずれかに対応しているのがほとんどだった。

  • NEC製プリンター PR201
  • EPSON製プリンター ESC/P
  • Canon製レーザープリンター LIPS

プリンタードライバーなんぞあるわけがなく、ソフトウェアが自前でプリンター制御を行い出力するのだ。
Canon製プリンターはESC/P互換モードを持っていたし、EPSON製プリンターもPR201互換モードを持っている事が多かった。発売されている機種も少なく、どのようなプリンターを購入してもワープロソフトなどで非対応で困ることは少なかった。
逆に言うとプリンターごとの個性はあまりなかった。
(ちなみに自分は仕事でMS-DOS用の自前ソフトから、Canon製のレーザープリンターで印刷をするためにLIPSのマニュアルを調べつつ直接プリンターに制御信号を送って印刷させるプログラムを作成したことがある。仕上がりは当時としてはとても美しかったが二度とやりたくない)

通常、印刷されるフォントはプリンター内部に搭載されたビットマップフォントのイメージに依存しており、イタリック、ボールド、横倍角、縦倍角、四倍角のいずれかのみが印刷できた。罫線も罫線の文字フォントをそのまま使用することが多かった。
24×24ドットまたは48×48ドットが一般的だったと思う。
今のプリンターからすると、フォントのギザギザ感が強かった。

熱転写プリンターは、今では特殊な用途以外見かけなくなった。ドットインパクトは、まだまだ伝票印刷で使われているようだ。
ホームユーザーが使うのは熱転写プリンターが一般的だった。ドットインパクトより動作が静かで仕上がりが美しかった。カラーも印刷できる。ただ難点はインクコストが高いのである。

インクリボンを使用するわけだが、印刷した文字をそのままくりぬいて転写する形だ。そのため空白が多いとリボンの黒が無駄になってしまう。もちろんフォントの線の隙間もである。
そのため試し刷りをするために、一度使ったリボンを再利用したものだ。もちろん白抜けしてしまうが全部では無いので読めるレベルは保てた。
それでもきれいに見たい場合は感熱紙を使った。FAXで使用していた紙である。今でもレシートなどでは使われている。紙の方が熱を受けると黒く発色するものだ。インクリボンを外して感熱紙を使えばコストダウンになった。一応マニュアルに載っている正規の使い方だ。

カラー印刷は最悪だった。テープは一本なのだが、約21cm幅(A4の横幅いっぱい)でカラーが変わるようになっていた。イエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの順番だったろうか?一行ごとに重ねて転写していくのだ。フルカラーだったら諦めも付くが、もしも1文字だけ赤にしたとしよう。その間のカラーリボンは一度も転写されずに捨てることになるのだ。とてもじゃないが勿体なくて使えなかった。

年賀状は今では廃れてしまいつつあるが、昭和から平成時代は全盛期だった。
理想科学工業社の「プリントゴッコ」シリーズは絶大な人気があり、毎年の様に印刷をしていたものだ。
カーボンに反応して製版するのだが、通常鉛筆などで作成していたところ「熱転写プリンター」で版下を作るのが先進的だった。
コスト対策のためブラックリボンのみで文字やグラフィックを印刷して製版し、そちらで色を載せた。
断然安上がりな方法だった。

結局のところ、このプリンターを買ったは良いがあまり使わなかった。MS-DOS、Windows95,Windows2000とドライバーがありサポートされていたので使い続けた。
結局Windows2000のサポートが切れる2010年頃まで使用したので20年近い利用だった。
ブラックは何度か交換したが、カラーのリボンは結局初期のリボンのまま使い切ること無く終わってしまった。
期間だけを見れば、元を取ったと納得させている。

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