1980年代後半から1990年代前半にかけて、シリコンディスクと呼ばれる特殊なディスク装置があった。今で言うSSDである。
今でもSSDをシリコンディスクと呼ぶ方もいるが厳密には違う。
1980年代後半に今のSSDの基本技術であるNANDフラッシュメモリーが開発されたが非常に高価で容量も少なく、まだまだディスク装置に使うには難しかった。
実用的に使われ始めたのは携帯電話の普及時期である1990年代中頃である。それもかなり小容量だった。
1990年前後は個人ユーザーはまだまだフロッピーディスクでPCを利用していたが、多くの企業はハードディスクを追加接続して使用し始めた頃だ。当時のハードディスクはフロッピーディスクよりは高速なものの、まだまだ転送速度が遅くRAMディスクにデータを展開して利用することも多かった。
問題はRAMディスクは電源を切るとデータが無くなってしまうことだった。電源を切るときにデータをフロッピーディスクかハードディスクへ必ず転送する必要があったし、ハングアップしてしまうと全てのデータが消えてしまう問題があった。RAMディスクの高速性とハードディスクの利便性を併せ持った物がシリコンディスクである。
記憶装置として当時はフラッシュメモリーが使えないので、利用されたのは高価なSRAMである。もちろん電源が無くなるとデータが消失してしまうのでACアダプターで電源を供給し、万が一の停電対策にバッテリーも内蔵していた。
ただ非常に高価で容量も少なかったが、一部の企業では大変重宝された。速度は求めないものの工場などで振動がある場所での利用もあった。初期は8MBのシリコンディスクで数十万というレベルだった。後にSRAMからDRAMに変更して金額を押さえた製品も販売されたが、それでもあまりに高価だったので個人での利用はあまり聞かない。
メモリーも当初はC-BUSへ増設することが多かったが、徐々に専用メモリースロットが用意され、こちらに増設することが多かった。こちらの方がアクセスはより高速だ。
そのため一般的にはRAMディスクを使用することが多く、Windows95の発売前までのほんの数年間だけ利用された装置である。
いつか安価になったら手に入れてみたいと思っていたが、実際に普及したのはSSDである。バッテリーでのバックアップもいらず非常に高速だ。
実際に手に入れたときに予想外に進化したのがシリコンディスクだった。
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